小学校の卒業を見据えた私は、中学校に思いを馳せていた。
私が進学するのは、近くの5つの小学校から新入生が集められる、とても大きな中学校だった。3クラスだった学年は、6クラスにまで増えるという。同じ小学校から同じ中学校に行く子は、20人程度しかいなかった。その他はみんな、知らない子たち。
新生活を前に不安が広がる私の中で、ある一つの可能性が浮かんでいた。それは、新学期を少しでも希望だと感じられるように考えた、自分なりの方法だった。
変われるんじゃないか。
習い事も何もしていなかった小学生から。週に2、3回しか登校できなかった不登校児から。クラスの中で浮いてばかりの問題児から。
これが、変われるチャンスではないか。
新しい環境で、最初の新生活を頑張れば、みんなと同じように話すことができるような気がしていた。友達を作って、部活に入って、勉強を頑張れば、今までの自分なんていないも同然なくらい、人として変われる気がしたのだ。
春休みの間、密かに胸の中で育てていたそんな希望を抱えて、中学校に入学した。